町小・中学校学力調査結果報告
   
新学力調査2年目
小・中ともに「活用する力」に課題!


算数「小数のわり算」(宮小)

 今年度から小5・中2対象の宮城県学力・学習状況調査が、小6・中3対象の全国学力・学習状況調査とともに4月実施となったため、今年度の蔵王町学力調査は小学校2〜4年、中学校1年を対象として実施されました。(小5・小6・中1対象の町学力調査は11月・12月に実施予定です。)

小学校の現状と課題

国語
 町全体の平均正答率を学年別に見ると、2年生はそれほどの差はないが、3・4年生になると全国平均との開きがやや大きいことが分かりました。
 国語の「基礎となる力」と「活用する力」の2つの視点で分析したところ、「基礎となる力」では、どの学年もさほど全国平均との差はなく、「話す・聞く力」や漢字の読み書き等の国語の土台となる基礎学力は概ね定着しています。一方「活用する力」はどの学年も全国平均を下回っており、課題が見られました。ここでの「活用する力」とは、言葉や文章から、相手が伝えたいことを考え判断したり、自分が伝えたいことを表現したりする力のことを示します。
 「活用する力」の出題内容をみると、段落がばらばらに提示され、それを正しく並べ換えたり、字数制限の中で自分の考えを記述したりする設問が多く、限られた文字数の中で記述するということは、考えただけでなくさらに要約する力も求められます。
 前述のように基礎的な学力は全国平均とほとんど差はなく、学習した直後の単元毎のテストでは、全国平均と比べて遜色のない成績を上げています。それだけに、各学校とも授業を中心とした言語能力を高める様々な取組の他に、「活用する力」に対応できるようなやや難度の高い設問に多く触れさせ、それを解くコツを工夫して教えていかなければならないと考えております。
 ご家庭でも「活用する力」は、意識していただければと思います。家庭生活の中には言語活動が身近に存在します。日常の「話す」「聞く」「書く」の中に、「自分の言葉で考える」「順序よくまとめる」「分かりやすく伝える」といった習慣を少しずつ取り入れていけば、「活用する力」の向上の手掛かりになるものと考えます。

 

算数
 平均正答率を見ると、全ての学年で全国平均を下回る結果となりました。算数の「基礎となる力」と「活用する力」の二つの視点で分析したところ、「基礎となる力」では、全国平均とほぼ同程度でした。それに比べて、「活用する力」は、どの学年も、大きく下回っており、課題が見られました。ここでの「活用する力」とは、算数の学習で身に付けた知識や技能を、生活や学習の様々な場面で役立てることを示します。
 「活用する力」の出題内容を見てみますと、例えば、2年生では、時刻の読み方の学習を基に、ただ単に時計を見て時刻を読み取るだけでなく、生活の中で実際にあるような、活動と時刻を合わせて考えなければならない状況を想定した問題が出されています。また、4年生では、表とグラフで学習したことをもとに、それらの特徴について自分なりの言葉で表現したり、ゲームの得点表を見て正しく読み取り、その後、何点とれば勝てるか考えたりする問題が出されています。
 生活の身近な場面において、学習したことを生かせる機会や経験を重点的に取り上げることで、課題である「算数で学んだことを役立てる力」や「生活とのつながり」を高めていく必要があると考えています。
 国語・算数どちらの教科においても、「活用する力」の育成が、学力向上につながることが明らかになりました。今後、学校と家庭の両輪が、手を携えて「活用する力」の育成のための手立てを講じていきたいと考えております。




理科「遺伝子の組み合わせ実習」(遠刈田中)

中学校の現状と課題
 町内3校の1年生を対象に、今年4月に実施した学力調査の結果は、グラフに示した通りです。学力調査は、各教科の基礎、活用(※1)がどの程度身に付いているかをみる問題であり、小学校の学習内容から出題されています。
 社会、理科は、基礎、活用ともに全国平均をやや下回っていることが分かりました。国語と数学の基礎は全国平均に近い正答率になりました。
 今回の学力調査を受けて、今後重点的に指導すべき内容については、下の表の通りです。
 3校とも授業規律を徹底しつつ、授業でのねらいの明確化やまとめでの振り返りの重視、ノート指導の充実に力を入れています。これは、生徒にとって授業内容が分かるようになるための基盤となります。また、課題に対してじっくりと考えさせ、考えたことを自分の言葉で発表し、深め合う活動を積極的に取り入れています。これらのことにより、「知識を活用し課題を解決する力」の育成を図っています。その他、家庭学習の充実も学力を育む上で不可欠です。その内容や方法、学習量等について適切な指導を継続して行って参ります。

※1 様々な実生活の場面の課題を解決するために、知識や経験を生かして考えをまとめ行うこと


町立中学校3校の学力向上の取組
国 語

●漢字の書き取り
●敬語の理解
●説明文の内容の読み取り

社 会

●日本の工業生産に関する知識
●我が国の農業や水産業
●天下統一から江戸幕府の体制確立の理解

数 学

●比例や反比例の関係の読み取り
●百分率についての理解
●帯分数を含む乗除混合の計算
●小数、分数の計算

理 科

●人の吸気、呼気と血液中の酸素と二酸化炭素の関係の理解
●岩石や化石のでき方の理解
●消化、吸収についての理解

 

 昨年度から町の学力調査が、思考力・表現力が分析できる記述式に変更され、 蔵王町の小・中学生の学力を幅広く把握できるようになりました。
 今年度の結果としては、全体として、小・中ともに基礎的・基本的な内容の定着は各教科で着実に進んでいますが、「活用力・表現力」に課題があることが分かりました。
 小学校では国語・算数ともに、日常の生活場面でも生かせる学習内容を「活用する力」がこれからの課題です。また、 中学校では、社会・理科において基礎的な学習内容の定着が求められ、「活用力」 とともに学力向上への取り組みを進めていかなければならないことが分かりました。引き続き各校で、分析結果から傾向をつかみ、学力向上に向けての取り組みを進めてまいります。
 また、学力の向上には、学校での授業の充実とともに、児童生徒の家庭学習への主体的な取り組みも重要です。蔵王町で作成している「家庭学習の手引き」を活用し、宿題以外にも自主的に学習内容を選び、自分なりに工夫して取り組めるよう支援を継続していきます。
 なお紙面の都合で、小5・小6・中3対象の生活アンケート調査の結果につきましては、各校の学校だより等でお知らせすることといたしました。
問い合わせ先/各小中学校または、町教育委員会教育総務課 TEL0224−33−3008

 

ページの先頭へ