健康一口メモNo275
「糖尿病の合併症」
〜特に高齢者の低血糖と認知症との関連について〜

大泉記念病院 副院長　佐藤　和彦先生

　日本人の糖尿病の患者さんは、予備軍を含めて2，200万人前後と言われています。治療は、食事療法・運動療法を行い、それでもコントロールできない方は、種々の内服薬・インシュリン注射などで、ほとんどがコントロール可能になってきました。しかし、それでも注意しなくてはいけない合併症があります。
　細い血管や神経が障害される、目の網膜症・腎症・末梢神経障害があり、特に糖尿病性腎症による透析の導入が、毎年16，000人にも上っています。また、大血管障害と言われる心筋梗塞や脳卒中も、高血圧・高脂血症と共に、糖尿病が原因と言われております。
　さらに糖尿病患者は、非糖尿病患者と比べてアルツハイマー型認知症が1.5倍〜4.5倍多いことが、最近わかってきました。また、著しい高血糖自体が認知機能を障害し、治療中におこる低血糖が認知機能の低下と、認知症を引き起こす可能性があることもわかってきました。
　軽度の低血糖症状は、発汗・動悸（どうき）・手の震えなどの自律神経症状と、めまい・フラフラ感・脱力感・眼がボーッとする・意欲低下や仕事の能率が低下するなどの神経糖欠乏症状に分けられますが、高齢者は低血糖の自律神経症状が乏しく注意が必要です。

休日当番医（内科・外科・歯科）　5月3日〜6月2日