■質問
40年以上続いたコメの生産調整が見直され、いよいよ3年後からは、農業者が自らの経営判断で作付けをすることになる。同時に転作補助金等は廃止され、米価の大幅な下落に加え水田農業の経営は非常に厳しい局面を迎える。
この政策が示されてから、関係者の英知を結集し、加工用米、備蓄米、飼料用米生産等による需給調整に努めながら、「ひと・農地プラン」の見直しや農用地利用集積事業など各種の施策を進めてきたが、これまでの成果と今後の対策はどうなのか。
■町長
農業を取り巻く内外の環境が劇的に変化し、いわゆる減反政策を平成30年に廃止し、農家の経営判断で作物をつくる農業の実現化に向けて歩み出した。
特に米の直接支払交付金については、平成26年産米から交付単価を10アール当たり7500円に半減した上で、平成30年産から主食用米の生産目標数量の配分を取り払い、交付を廃止する厳しい政策を打ち出した。
一方で、飼料用米への作付誘導を図るため、収穫量に応じて支払う仕組みの取り入れなど、議員ご指摘のとおり水田農業政策が大変革を迎えたところである。
蔵王町水田農業推進協議会では、備蓄米・飼料用米作付説明会を開催し、新たな制度に対する認識の共有と、主食用以外への作付転換を図ってきた。
その結果、飼料用米・備蓄米生産面積は、平成27年産は95ヘクタール、480トンと一定の作付誘導が実現できた。
町内の畜産農家との耕畜連携を一層深め、転作作物の増産に努め、農家経営の安定を図りたい。
また、農業従事者の高齢化が進み、平成30年の生産調整の廃止を契機に、リタイヤ者の増加が想定される。この対策として農地中間管理機構の経営転換協力金等を活用し、担い手農家にリタイヤ者が先祖代々守り続けた農地の活用を託す形で、農業体質強化を図りたい。
この制度で、これまでに6件、合計3.5ヘクタールの水田が貸し出しされており、制度の理解促進を図り、人・農地プランの見直しを含め、農地の出し手農家の掘り起こしに努める。
今後は、主食用米の生産のみに頼らずに、飼料作物、飼料用米、果樹・野菜などの地域戦略作物(ブランド作物)の生産に農業経営を移行しながら、コスト削減や省力化に取り組む必要があり、国の動向を注視しつつ、その経営の安定化に向け、水田農業推進協議会や各種農業関係団体と協議を継続しながら、具体的な対応を進めたい。
■再質問
水田の集積、規模拡大、飼料米への転換を進め、コストの削減、経営体質を強くするというが、主食用米は収益性が低く、飼料米も販路が限定され補助金を除くと米代はゼロに近い。また、多くの認定農業者が家族経営であり、規模拡大にも限界があるようだが、どう考えるか。
■町長
私も心配している。70代で大規模稲作をこなしている方もいる。農業生産組合の後継者の育成が重要で、ある程度企業との話し合いも持ちながら進めなければならない。それには収益性を考えた場合、県の考え方もそうだが、稲作だけではなくて、園芸などへの転換が必要と考える。
■再質問
多面的機能支払い交付金事業予算が減額補正されたが、地域の水田環境保全に有効であり推進すべきと考える。水田のダム的機能などの公益性や稲作経営の実態を訴え、政策を検討するよう宮城県の町村会長としても強く国に要望されたい。
■町長
事業には9行政区が参加しているが、国の補助金を有効に活用したいと考える。
TPPの問題もあり、米価の安定、飼料用米などに対する交付金の財源の法制化など、農家へ混乱を生じさせない安定的な制度の確立を、11月の全国町村大会に提案して、安倍総理に要望する。
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