健康一口メモNo303
「エコー検査と胆石症」

公立刈田綜合病院　外科部長　岩根　　尊 先生

　人間の耳には聞こえない高い周波数の音波（超音波）を対象に送信し、はね返ってくる反射波を画像化して臓器の状態を調べる検査がエコー検査です。検査を受ける方に苦痛や被ばくの心配がないことから健康診断などでも用いられています。
　腹部領域でエコー検査が威力を発揮するのが胆石症です。結石は音波を強く反射するため、エコー検査では、レントゲン写真、CTでも描出できない結石を描出することができます。
　胆汁の通り道である胆道内にできた結石を総称して胆石と言います。存在部位により肝内の肝内結石症、肝外胆管内の総胆管結石症、胆嚢内の胆嚢内結石症に分けられますが、胆石症と言えば、胆嚢内結石症がイメージされると思います。頻度も最も高いことから、以下は胆嚢内結石症についてお話しします。
　エコー検査の普及もあり、胆石保有率は増加傾向にあると推測され、健康成人の5％以上は胆石を有すると考えられています。治療は腹腔鏡下胆嚢摘出術が一般的で比較的安全に行われていますが、症状のない場合は経過観察でよいとされています。ただし、10年間の経過観察で約30％に痛みが出現、年1〜2％に胆嚢炎、膵炎などの重症合併症が起こるとされています。ご心配な方は、医療機関にご相談ください。

休日当番医（内科・外科・歯科）　10月4日〜11月3日