健康一口メモNo303
「皮膚のバリア機能について」

まつなが皮ふ科クリニック　院長　松永　　純　先生

　正常な皮膚は、表面から、角層、表皮、真皮、脂肪の順にできています。角層はやがてははがれ落ちていくものですが、皮膚のバリア機能については、重要な機能を担っています。
　角層の中にある角質細胞は煉瓦に例えられています。煉瓦のまわりには、表皮細胞が角質細胞に変化したときに放出された脂質が漆喰のようにまとわりついています。このように、角質細胞と脂質がタッグを組んで皮膚のバリア機能を営んでいます。
　最近は、清潔であることが重要視され、手を洗う頻度が増えましたが、洗剤に使われている界面活性剤は角層の中の脂質を減少させます。そうすると、角層は煉瓦だけが残ってスカスカになってしまい、さまざまな刺激やアレルギーの原因となる物質が表皮に到達し、表皮は炎症を起こしてしまいます。
　しかし、特別な香料や消毒剤・殺菌剤の入っていない普通の石鹸をよく泡立てて、手のひらの泡でマッサージするように洗うと、皮膚を刺激せずに十分に汚れを落とすことができますので、何事もやりすぎないことが大切です。皮膚科では、角層の機能を回復させる目的で、保湿剤を用いることが多いです。

休日当番医（内科・外科・歯科）　 9月6日〜10月4日