健康一口メモNo300
「スポーツドリンクで虫歯ができる?」

チェルトの森歯科診療所 院長　笹島ちさと先生

　スポーツ時の多量発汗は体内の水分を失わせ、脱水を引き起こすことがあります。 その結果、日射病や熱中症などの熱障害を引き起こします。熱障害の予防策に利用されるスポーツドリンクには、 症状を改善する即効性がある反面、「虫歯の原因」でもあることをご存じでしょか？
　「虫歯＝糖分の過剰摂取・歯磨き不良」と思われがちですが、虫歯 になる原因はこれだけではなく、「口腔内がどの程度酸性か」で「歯が溶ける（虫歯 になる）か否か」が左右されます。スポーツドリンクを考えてみると、酸性度を示す pHは3.3（緑茶・中国茶は6.4、砂糖入りコーヒー飲料は6.5）です。飲料でスポーツ・ドリンクに匹敵するほど低 いpH値のものは炭酸飲料や乳酸飲料で、pHは2.9。歯が溶け出すpHは5.4と言われ、pH3.3は塩酸を薄めた液体に匹 敵する強い酸性度です。特に子どもは、大人に比べると歯質が柔らく、スポーツドリンクを飲み続けると数日で歯が溶け て虫歯になることもあります。
　水分補給で言えば経口補水液の方が優れています。なぜなら、体が水分を吸収するのに適した糖分は2.5 ％以下で、多くのスポーツドリンクは6％以上だからです
　今年の夏の熱中症対には、子どもの虫歯予防も含め、「水分・塩分」を摂取するために昔ながらの麦茶に塩を入 れて飲むということも効果的だと思います。

休日当番医（内科・外科・歯科）　 6月7日〜7月5日