健康一口メモNo298
「COPD」

公立刈田綜合病院　麻酔科 小泉達彦　先生

　私は、昨年の12月、麻酔科医として刈田病院に赴任してきました。それまではずっと仙台市内で呼吸器内科医として働いていました。
　今回は呼吸器関連の疾患としてCOPDの話をさせていただきたいと思います。
　COPD（従来、慢性気管支炎、肺気腫と呼ばれていた疾患）は、タバコを主とする有害物質を長期間吸い続けることによって、気管支や肺に炎症が生じ、その結果、気管支や肺が壊れてしまう病気です。主な症状は、動いた時の息切れ、咳、痰などで、風邪などを契機に、そういった症状が重症化すると亡くなることもあります。息が苦しいとあまり動かなくなるため筋力も低下します。
　一度壊れた肺を元に戻すことはできません。しかし、禁煙や薬物療法などによって肺の破壊の進行を抑えたり、症状を軽減したりすることはできます。
　さまざまなデータから推測すると、日本でのCOPD有病率は40歳以上の男女の約8・4％（約500万人）と考えられます。国の調査によればCOPDの患者数は約20万人と報告されていて、COPDは、我が国では適切に診断されない現状があるようです。
　長期の喫煙歴のある方で、「最近、息切れがひどくなってきたな」という方は呼吸器内科の受診を検討してみてください。

休日当番医（内科・外科・歯科）　 4月5日〜5月4日