健康一口メモNo292
「ピロリ菌と胃炎」

公立刈田綜合病院消化器科
医師　佐藤　 匡 先生

　ヘリコバクターピロリ菌は、1983年に見つかった胃の中でも生きられる細菌です。
　日本人では、50歳以上では5割以上の感染率で、若年者ほど感染率が低くなっています。感染は幼少時の経口感染と考えられています。ピロリ菌に感染すると胃には慢性的な炎症が起こります。胃・十二指腸潰瘍の原因となるほかに、感染の持続に伴い胃癌のリスクを高める恐れがあります。
　昨年からピロリ菌感染胃炎に対して除菌治療が保険の適応となりました。保険適応内で除菌治療を行う場合、除菌前に胃内視鏡検査を行う必要があります。これにより胃炎の程度や潰瘍、胃癌の有無を調べた上で除菌を行うことが大事です。
　除菌は、胃酸を抑える薬と抗生剤の2種類を1週間内服します。抗生剤によるアレルギーや下痢、味覚障害といった副作用を生じることがあります。初回除菌療法による成功率は地域差が大きいのですが白石地区では約7割ほどです。不成功だった場合は、二次除菌治療を別な抗生剤の組み合せで行います。
　除菌不成功だった場合はもちろん、成功だったとしても発癌のリスクがゼロになるわけではありません。除菌治療後も1〜2年ごとに定期的な内視鏡検査の受診をお勧めしています。

休日当番医（内科・外科・歯科）　10月5日〜11月2日