健康一口メモNo291
「甲状腺の話」

公立刈田綜合病院
院長補佐　大橋　洋一 先生

　甲状腺は喉仏の下方にあり、蝶が羽を広げて気管に留まっているような形をした柔らかな臓器です。大きさは左右ともに横2〜3�p、縦4〜5�p、厚さ約1�pで、重さは約10〜20gです。甲状腺では、わかめなどにあるヨードを取り込み甲状腺ホルモンを血中に放出します。その作用は広範囲で、成長発育を促進したり、タンパク質や脂肪・水分などの代謝を活性化します。
　甲状腺ホルモンが増えすぎると、普通にしていても走っているときと同じような状態になります。気持ちはイライラし、心臓はドキドキして脈が速くなり、汗が多く出てだんだんと痩せてきます。
　このように動悸を強く感じる場合は心臓の病気と思いがちです。痩せてくる場合は消化器の病気を疑うでしょう。いらいらが高じれば神経の病気を考えるかもしれません。しかし、甲状腺ホルモンが多くなる病気でも出てくる症状です。
　逆に、甲状腺ホルモンが不足すると、代謝が低下し精神的にも肉体的にも活動が鈍くなります。その結果、疲れやすく気持ちが沈んだり、物忘れがひどくなったり、寒がりになったりします。女性では、こんな場合、更年期障害などと考えがちですが、甲状腺の病気かもしれません。
　このような症状が続く場合は、かかりつけの先生にご相談ください。

休日当番医（内科・外科・歯科）　9月7日〜10月5日