疣岩分水工が土木遺産に認定

地域の農業振興発展に寄与


県道沿いにある疣岩分水工。手前に流れる水は黒沢尻用水路へ(円田棚村地区)

 疣岩分水工は円田字棚村地内の県道沿いにあり、現在の農業振興の基盤として重要な施設で、県内では一番最初に出来た分水工と言われています。
 遠刈田発電所で発電用に使った澄川の水の一部をこの分水工に放流し、7割が澄川用水路に、3割が黒沢尻用水路の方に分水され、850haの水田に活用されています。
 時代をさかのぼること約百年前、大正初期のこの時代は毎年干ばつに見舞われ、旧円田村、村田町などの地域は、農作物を栽培するための水不足に悩まされてきました。「我らに水を与えよ。しからざれば死を与えよ。」と村人たちが嘆くほど干害による被害が続きました。村人たちは新たな水源として澄川に水を求め、分水施工から完了まで2年を要したこの施設は、80年経った今もなお使われています。
 この疣岩分水工が、歴史的土木施設として日本土木学会の選奨土木遺産と認められ、7月20日に認定授与式が行われました。
※選奨土木遺産とは、築50年以上の構造物を対象とし、地域資産への認識の喚起と、貴重な遺産の保護を目的に2000年に設立。宮城県では4番目の遺産として認定されました。


土木遺産の認定授与式の様子(7月20日)


疣岩分水の構造

 分水施設とは、農業用水などを一定の割合で正確に分配するために用いられる施設。円筒状の設備の中心部に用水を湧き出させ、円筒外周部から越流、落下する際に一定の割合に分割される仕組みとなっています。
 左図は外縁部を越流させる構造の場合を図示したもので、外縁部に設ける仕切りの間隔と同比率で、用水が正確に分配されます。


(左)緑一面の水田風景(円田地区)。(中)澄川上流から発電所へここから取水します。(右)県道から見た疣岩分水工。

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